執筆時点(2025年11月上旬)で、みんなで大家さんという投資商品の配当が遅延しております。特に、主力商品であるシリーズ成田といって、成田空港の周辺の土地を開発するという名目で投資家から集めたものは、7月から4ヶ月連続で配当が支払われておりません。他の商品についても、9月から配当が支払われないものが出てきております。執筆時点だと被害対策弁護団が結成され、集団訴訟に発展しているところです。まだ確定ではないですが、ポンジスキームではないかとの見方が強まっています。
もし本当にそうであれば、原野商法にポンジスキームと、古典的な詐欺手法を組み合わせていたことになります。
▼原野商法とは
都心から遠く離れたリゾート地や離島を「開発予定なので将来値上がりしますよ!」などと騙して、実際には草や木が生い茂り車道もなければ水道もガスも引いていない無価値の土地を売りつける手法です。高度経済成長期やバブル期などに横行しました。現在も北海道のニセコの土地が外国人に法外な高値で売れているとか…
相続の現場では、糸島とか那珂川とか宗像の山の中に処分が難しい土地を持っている方をよくお見掛けします。運がよければ再開発にかかって売れたり、隣の人が買ってくれたりしますが、大抵は原野のまま放置されています。
▼ポンジスキームとは
1920年にチャールズ・ポンジが発明した手法です。
投資家からお金を集め、運用する振りだけして新たな加入者から預かった元金を古い加入者への配当として払う方法です。いわゆる自転車操業のため、いずれは破綻します。
一見ネズミ講と似ていますが、ネズミ講が親会員→子会員→孫会員といったピラミッド型の組織を持ち会費が一律なのに対し、ポンジスキームの場合は会員(投資家)どうしの優劣はなく、出資額にもばらつきがあり、中央集権的な組織であるという違いがあります。
ネズミ講は法律により禁止されている一方、ポンジスキームは最初だけ一般の投資を装っているため、規制が難しいのが現状です。
こういった投資詐欺を見分ける注意点として、下記の3点が挙げられます。
注意点1 元本保証
注意点2 高利回り
注意点3 少リスク
投資の世界では、基本的にハイリスク・ハイリターンかローリスク・ローリターンしかありません。リスクが低いのにリターンが大きいのは詐欺の可能性が高いです。
もしも、あなたが投資に対するリテラシーやビジネスに対するスキルが高く、特別な人脈があればローリスクでハイリターンな投資話が向こうからやってくることもあるでしょう。
しかし、一般でそのような人は少ないと思います。
では、そういった詐欺に騙されないようにするために、どういった対策を取ればよいのでしょうか?
対策① 投資している現物を確認する
運営会社が作成した資料だけを見て判断しないことです。不動産であれば定期的に現地を訪問して適切に運用が行われているか確認した方がよいでしょう。金融商品だとなかなか確認は難しいですが、本当に投資しているか第三者が作成した取引高などの資料を確認してみてください。
対策② よくわからないビジネスに投資しない
「苗を冷凍すれば、皮ごと食べられるバナナを速成栽培できる」という話を聞いて、即座に理解できる人は少ないと思います。ウォーレン・バフェットも「自分が理解できないビジネスには投資しない」と言っています。同種のビジネスで先行するものがないか、などは調べてもよいかもしれません。多くは失敗しているはずです。
※バナナについては、みんなで大家さんが福岡県遠賀郡水巻町のグランモールというショッピングモールで栽培していると言われています。後日取材予定です。ご期待ください。
対策③ 年利5%を超える投資は要注意
個人投資家が達成できる堅実で現実的な利回りは5%と言われています。
それを超える場合、何かしらのリスクが発生していないとリターンに見合いません。
後述しますが、投資詐欺事件の多くは6%か7%あたりが多いです。5%だと少なすぎるけど10%以上だと大げさ過ぎる、という塩梅だと思われます。
対策④ 銀行や投資家が出資しない理由を考える
そんなに期待が大きい投資であれば、銀行がお金を貸したり一部上場企業や有名な投資家が先行投資したりするはずです。もしくは国や研究機関から補助金などが出ることもあるでしょう。それをしないで一般人から広くお金を集めるのは、騙しやすいからに他なりません。
対策⑤ 楽して儲けたいという心を捨てる
美味しい儲け話には絶対にウラがあるに決まっています。
対策⑥ 早めに撤退する
既に投資してしまった場合は、早めに撤退してください。ニュースや裁判になってからだと、元本のほとんどは回収できません。5割でも4割でもいいので回収できるうちに解約されてください。
これからも手を替え品を替えポンジスキームの詐欺というものは出てくるでしょう。
詐欺師たちに負けないように、私たちも知識を深めて防衛していきましょう。
参考までに、過去の不動産詐欺事件やポンジスキーム詐欺事件の一覧を載せておきます。
気になった方は、事件の詳細をご自身でお調べください。
似たような事件が意外と多く、教訓として非常に役に立ちます。
